医薬品のネット販売解禁!?薬剤師の将来を考える
インターネットによる医薬品の販売が事実上解禁されたというニュースについて紹介しています。2013年、厚生労働省が医薬品のネット販売を禁じた省令が最高裁によって違憲判決を出されました。薬剤師の将来にどんな影響があるのでしょう?
ネット販売解禁!?医薬品販売のあるべき姿とは…?他の国ではどうなっているの…?
医薬品のネット販売はどうなっていくの?
今年に入って最高裁判所が、一般用医薬品のインターネット販売を禁止する厚生労働省の省令を違憲とする判決を出したことが話題になりました。
報道では“ネット販売解禁”などとセンセーショナルに取り上げられましたが、現実には薬事法を改正すれば再禁止することは可能。これは単純に“法律で定められていない内容を省令で一律禁止するのは権限の濫用である”と指摘されただけだからです。
ただ、現実には多くの店舗でネット販売が再開されており、このまま解禁となっていく可能性が高いといえるでしょう。
これによってドラッグストアでの薬剤師雇用に悪影響が及ぶ可能性もあり、薬学部志望者としては今後の動向が気になるところですね。
世界では医薬品のネット販売は普通なの?
さて、ちょっと海外に目を向けて日本以外の先進国で医薬品のネット販売がどの程度認められているのかを紹介したいと思います。要するに、世界では医薬品をインターネット上で売買することが常識的なのかどうかを知っておこうということです。
世界保健機関(WTO)が2009年に行った調査では以下のようになりました。
1.ネット販売を認めている国
チェコ、フィンランド、アメリカ、中国など9ヵ国
2.ネット販売を禁止している国
アルゼンチン、ベルギー、オーストリア、韓国など21ヵ国
以上から、現状では医薬品のインターネット販売を禁止している国が圧倒的に多いようです。この趨勢の中で大っぴらに解禁に踏み切るとすれば、やや世界の常識からは外れていると言えそうですが…果たしてそうなるのでしょう。
厚生労働省はどう考えているのか?
厚生労働省としては法改正を経ての再禁止は考えていない模様。第1類医薬品については“購入者から使用者の情報を細かく得て、きちんと用法&副作用などの説明を行う一方、医療機関受診を勧めること”という一定のハードルを設け、一部の効き目が強いとされる第2類については指定第2類という扱いにして第1類に準じる販売を求める意向です。
ただ、罰則がないのでは守られる保証はありませんし、実店舗でも薬剤師との対面販売しか認めていない第1類を簡単にネット販売して良いのかは疑問の残るところ。
薬剤師の雇用だけでなく、使用者の安全のためにも一層の議論を期待したいですね。