優秀な学生が集まる応義塾大学薬学部。でも、国試合格率などは、それほど芳しくはありません。もしかして、それは職員の質にも関係あるのでは?そんな疑問にお答えします。

教員紹介
慶應義塾大学編

共立薬科出身の職員が過半数を占める!

前身である共立薬科大から継続して勤めている職員が多いようです。慶應薬学部としての特色をどう出していくか、に今後の成長がかかってくるでしょう。

ノーベル賞受賞者や、日本学士院賞を受賞した先生など、横浜薬科大学に在籍している教員・職員の方々の経歴を紹介しています。

笠原忠(カサハラ タダシ)
教授 薬学部常任理事

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東京大学薬学部卒。その後、東京大学大学院薬学系研究科で博士号を取得し、自治医科大学医学部助教授を経て共立薬科大学教授に就任。その後、慶応義塾大学による共立薬科大吸収によって慶応義塾大学教授となった方です。2008年には慶応義塾大学の薬学部長も務めており、大きな影響力をお持ちの教授と推察されますね。

ご専門とされているのは、免疫学・生化学・アレルギー学など。医学部の助教授をなさっていた実績から、薬学・医学の双方に精通した医療のエキスパート的存在であると窺われます。 炎症・免疫・アレルギー反応の研究をなさっており、ケモカイン・サイトカイン・シグナル伝達機構の解析を行っているそうです。ちなみにサイトカインやケモカインは炎症の形成に大きな影響を及ぼすタンパク質のことで、多くは低分子のペプチドから成っている物質。特にサイトカインは免疫療法などとも関わりがあり、現代の医療において欠かせない研究分野だと思います。

杉本芳一(スギモト ヨシカズ)
教授 薬学部

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東京大学薬学部薬学科卒。その後、東京大学大学院薬学研究科で博士号を取得されています。癌研究会・癌化学療法センターで長年にわたって研究員を務められ、現在は同センターの遺伝子治療研究室室長をなさっている人物です。

がんの遺伝子治療といえば、従来の外科療法・化学療法・放射線治療に加えて免疫療法と共に注目を集めている新しい治療法。杉本先生は、がん治療の最先端に携わっておられる研究者のようですね。実際、最近では癌抑制・アポトーシス(細胞自然死)に関わりを持つP53遺伝子を癌細胞に組み込む遺伝子治療が発達してきており、今後の進展が望まれています。 こういった最先端医療に造詣の深い先生がいらっしゃる慶応義塾大学薬学部では、時代を先取った研究テーマに触れる機会も多いかもしれません。

編集部より

慶応大薬学部としてのアイデンティティをどう構築していくのか

急造薬学部と揶揄されている現状をどのように打破するか

慶應義塾大学芝共立キャンパス

ご存じの通り、慶応義塾大学薬学部は2008年に共立薬科大学を吸収合併して誕生した創設間もない新学部です。これは、医学部・看護学部を擁する慶応義塾大学が薬学部を新設して総合的な医療系大学としての地位を高めたかったことと、薬学部6年制への移行を独力で行うことに不安のあった共立薬科大学の思惑が合致したことによるものと言われています。 しかし、この吸収合併劇を拙速と見る人もおり「事実上、共立薬科大に慶応の看板を掲げただけ」と揶揄されることも…。実際、教授陣などの職員は共立薬科大の時代と同じ顔ぶれで、どのように内情が変わったのかは見えてきません。 もちろん慶応ブランドを失墜させるわけにはいかないでしょうから、徐々に内実も伴ってはくるでしょう。それでも、こういった批判的意見が多く存在することに目を瞑るわけにはいかないのも事実。 合併が正しかったのかどうか、その結論が出るのはもう少し先になるでしょう。

研究者志望なのか、それとも薬剤師志望なのか

慶應義塾大学では薬剤師志望か研究者志望かを熟考

慶応義塾大学の直近の国家試験合格率は90.70%(新卒は93.51%)。これは、最難関大学としては低い数値です。とはいえ、東京大学・東京理科大学のように研究者養成に力を入れている大学では、難関大でも国家試験に力を入れていないケースは多くあります。慶応義塾大学が同様の路線を進むのであれば、これは大きな問題ではないかもしれません。 とはいえ、母体となった共立薬科大学は中堅クラスの薬科大であり、国家試験合格に力を入れていました。職員の多くが当時のままであることを考えると、慶応義塾大学薬学部の方向性が研究者養成に変化したとも断言できません。大学・職員・学生が、どのような方向性を思い描いているのか。そのあたりがもう少しハッキリすると、受験生の進学先選びにも良い影響があると思うのですが…。 慶応薬学部を受験しようと考えている方は、是非とも1度“自分は薬局の職員=薬剤師になりたいのか、それとも大学・研究所の研究職員になりたいのか”を熟慮して、将来的な目標を見定めて欲しいと思います。

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